コラム - ABC分析のツボ
ABC分析ってご存知ですか?
もしくは「ニハチの法則」って言葉は聞いた事ないですか?
パレートの法則
イタリアにヴィルフレド・パレートという経済学者さんがいらっしゃいました。その方は「経済社会における富の偏在」を明らかにし、「全体の数字の大部分は、全体を構成する要素の一部分が占めている」といった法則を発見しました。その名前にちなんで「パレートの法則」と呼ばれています。
なーんて言ってもよくわかんないですよね?
では、一昔前によく使われていた例え話を。
ビールの売り上げシェア
世の中には、実に沢山の種類のビールがありますね。一昔前よく言われていた事ですが、、その全売上の80%は、売上上位のたった20%の品目に占められていたそうです。仮に100種類のビールがあって、全体で100億円の売り上げだったとすると。売上好調の20種類だけで、80億円売り上げていた、という事になります。一部の商品にとても人気が偏っていた、という事です。
こういう現象が起きているのは、ビールの売り上げだけじゃなかったんです。
ニハチの法則
ビールの売り上げシェアと同じようなケースがあちこちで見られ、それぞれの比率が20:80になってたので「ニハチの法則」と呼ばれて世間に良く知られるようになりました。なので日本では考え方の元となっている「パレートの法則」と「ニハチの法則」は同じもの、と理解されてる方も多いようです。厳密には違うのですが、「世の中は偏ってる」という事実を指摘している点では共通です。
こういった法則を利用して、売上分析なんかに広く使われているのが、ここで紹介するABC分析です。
ABC分析
ABC分析とは、各アイテムをABCの三段階でグループ分けし、全体の数字の偏り把握しやすくする、といった事を目的にした分析手法です。
たとえば商品毎の売上を分析するときは、全体の80%を作ってる上位品目をAランク商品、次の95%までをBランク商品、残りをCランク商品、なんて感じでランク付けしたりします。
この様に上から順番にランク付けしましたが、結局それでなんなんだって話です。Aだとどうで、Cだとどうなんでしょう。少しその意味について考えます。
各ランクの意味を考える
売上金額で上から順に、各商品にランク付けしたケースを元に、各ランクの意味を考えてみます。
まずはAランクについて。
主力商品です。エース。この商品はとにかく良く売れるので、品切れによるチャンスロスに気をつけよう、なんて事を考えます。
次にBを飛ばしてCランク。
あまり活躍しない商品達、アイテム数だけは沢山あります。利益に貢献しないのに在庫管理の手間とかは一人前にかかったりします。より動きの悪いもの、より手間のかかるものから戦力外通告を検討したりします。
最後にBランク。
AでもCでもない普通の商品です。
といった感じで、ランクの意味は大体わかりました。
でも「Aランクは全体の80%を作っている上位商品」っていうように決めつけた考え方がいつも通用するもんでしょうか。各商品、満遍なく売れているケースもそれでいいんでしょうか。
もちろん答えはNOです。
ランク付けのルールを考える
ちょっと極端な例ですが、こんな場合はどうでしょう。
100品目あって売価は全部100円。一番売れている商品は10000個売れました。次は9999個、その次は9998個、、、と1個づつ売上が少なくなっていくとします。トップ商品の売り上げ金額は100万円です。最下位の商品は約99万円。その差は1万円、たった1%の差です。すべての商品に力の差はほとんどありません。
この場合は「Aランクは全体の80%を作っている上位商品」というルールは正しい判断とは言えません。商品に力の差がないんですから。ではこの様な場合、各商品のランク付けはどうすべきでしょうか。
わかっている事実はたったひとつ、「このチームには主力選手がいない」という事です
主力がいない、つまり答えは「全部Bランク以下」です。
パレート図を描いて、さらにルールを考える
ちょっと極端な例でしたが、この考え方が基準になります。
一般的には品目の中に主力も普通の商品も戦力外もあるケースが多いです。そういうケースを次の様にグラフに描いてみました。
まず横軸ですが、売上の高い順に左から右へと並べています。一番左がもっとも売れている商品で、一番右が最下位の商品です。
次に縦軸ですが、二種類のグラフがあります。
まず、青い棒グラフは個々の品目毎の金額です。売上の高い順に並べてますから、左から右へとだんだん低くなります。
次に赤い線グラフ、左の品目から順に売上を加算して行った値、つまり累計値の推移を表しています。必ず右肩上がりのグラフになって、グラフの傾斜は最初が一番キツクて、徐々に緩やかになっていきます。
この様なグラフを一般的にパレート図と呼びます。
この最初の勢いがいい部分、角度がキツイ部分の商品がAランクになります。グラフはAランクに含まれる一部の商品だけで、一気に伸びていきます。
ちなみに先述した極端な例を同じくグラフにしてみると、こんな感じになります。
図
棒グラフはほとんど横一直線。線グラフはほぼ45度の直線を描いています。45度になっているのは、私がこのグラフを正方形で描いているからです。
先述したとおり、主力のない商品チームは「全部Bランク以下」でした。つまり線グラフの傾きが45度位になってるあたりにある商品はBあるいCでランク付けするのが適切だといえます。
では、Aランクはどの辺でしょうか。個人の感覚によりますが、私はこの角度が60度くらいまでのアイテムをAランクとしています(最初のグラフだと上位20%ちょい位のあたりまで)。そして45度位までをBランク、それ以下をCランクとしています。
ランクの意味もわかったし、ランク付けのルールも決まりました。
でも、ランク付けしたところで、どれほど役に立つといういうのでしょうか。
実はここからがお楽しみなのです。
ランクのメッセージ
苦労してABCランク付けが終わりました。実際のところ、手作業で表計算ソフト等を使ってABCランク付けを行うのはそこそこ骨の折れる作業です。さあ、その努力を実らせましょう。
まず単純にわかる事。売上金額でAランク商品は主力商品です。これだけでもとても重要なメッセージです。まあ、自分が扱っている商品の主力なんて、こんな努力する前から感覚でわかっている、、、といった思いこみは禁物です。数字にしてみると意外な事実が隠れているものです。商品別だけではなく、市場別、地域別、期間別の主力も実際に見てみると新たな発見があるかも知れません。
そしてさらに、ABC分析は多角的に行って見えてくるものがあるのです。
商品別ランク付けを例に、いくつか活用案をご紹介しましょう。
宝の地図として使う
ここでは商品別に売上金額、粗利、数量でランク付けされているものとします。
1.売上A、数量A、粗利Cの商品
よく売れてます。小売店なんかの場合は沢山のお客さんが手にする商品なんでしょう。レジを沢山通過します。売り切れないように陳列スペースも必要です。
なのに、、、粗利がCなんです。。。
儲からないんです。
貴重な手間と販売スペースを消費している割には、儲かってないんです。
すぐ取り扱いをやめましょう、、、、と簡単な話でもありません。その商品はお客さんには求められているんですから。でも、利益を生まない商品を扱い続ける訳にはいきません。本当に貢献していないんでしょうか。一昔前、スーパーではタマゴとティッシュの安売り競争が熾烈でした。それらが安ければお客さんが殺到して、他のものも買ってってくれるんです。1円単位での安売り合戦。「客寄せパンダ効果」を狙ったものです。こういった商品はお客さんの声と客寄せパンダ効果を念頭に入れながら取り扱い方を検討します。もし取り扱いをやめたのなら、空いた手間とスペースはエース商品のために使いましょう。こんな商品見つかったらどうします?いくら利益が増えますか?考えただけでワクワクしてきませんか?
2.数量がAランクで粗利もAランク、原価が安い
良く売れます。そして利益への貢献も素晴らしい。たくさん売りたいですね。でも消費期限とかがあって廃棄するリスクがある商品は、なかなか在庫をもつ勇気がでません。
でもこういう商品は、「在庫過剰で廃棄」の方が「在庫不足で売り逃し」よりチャンスが大きい事が多いです。
まずは売上の推移、バラつきをみてみましょう。そして売り逃し無しを実現できる程度の在庫を持った運用を考えてみます。売上は最大になりますね。同時に廃棄も最大になります。利益はいくら残りそうですか?次に完全売り切り体制の在庫を持つ運用を考えます。売上は最小、でも廃棄はゼロです。どっちが利益が大きいですか?その中間くらいではどうですか?
カンのいい方はもう思いついてますよね。そうです、逆のケースもあります。
3.原価が高く、利益率が低く、かつ廃棄の可能性がある
もし、こういう商品が数量Cなら「売り逃し」を選ぶのが得策です。取り扱い中止も視野に。
こういう商品が数量Aの時の場合はどうでしょう。慎重な意思決定が求められます。
お客さんには人気があり、無責任に品切れを起こしては信頼低下を招きかねません。しかし過剰在庫のリスクも大きい。適正在庫なんてものは水晶玉しか知りません。
もちろん打つ手はあります。
例えば値上げです。そもそも過剰に値下げしてしまってるケースなどは、適正価格に戻す事でリスクを減らせます。
または「限定数量商品化」なんてのはどうでしょう。こちらば先着何名様までってヤツです。確実に売り切れる最大値だけ在庫します。予告する事で、売り切れ時に信頼を失うケースを減らせるかもしれません。
他にも手はたくさんあると思います。「水晶玉」ってのも実はヒントだったりして。
4.全社的には売上Aランクの商品が、ある店舗ではCランク
少し視点を変えて、売上金額だけで店舗間比較をしたケースです。
これはその店舗の大チャンスかもしれません。他の店舗のお墨付きの成功事例にならうだけで、躍進できるかもしれないんですから!
仲間に学ぶ。ライバルに学ぶ。「学ぶ」とは「真似ぶ」です。
実はここに、こういったデータ取り扱い時の最大の注意点があります!
問題としてではなくチャンスとして捉える、という事が重要なんです!
もしこの結果を受けて、上位職が「なんでお前のところはCランクなんだ!損してるじゃないか!バカ野郎!」なんて部下にダメ出しする資料として使ったらどうなるでしょうか。
部下はもう、この資料からチャンスを見出そうとしません。
ダメ出しされない事だけを考えるようになります。
「地域特性がドウノコウノ、、、」とか自分の正当化のためにエネルギーを使い出します。
本当は誰もそんな事したくないんです!
お客さんのため、会社のために役立ちたいんです!
そのために力を発揮したいんです!
自分で考えて何かを生み出してみたいんです!
「チャンスだ!」と一緒に盛り上がりましょう!
非難しなければ言い訳しません!
そんな暇があったら、なにか試して失敗してる方がマシです!
マシなんてものじゃない、成功へたどり着く道はそれ以外にないんです!
すいぶん話しがそれましたかね、、、
いや、この話が本質ですね。手にしようとしているのは宝の地図なんですから。
「チャンスへの集中」です。
無料サービスを準備中です。
ABC分析のツボ、いかがでしたか?
この様にとっても便利なABC分析、御社のお役に立ちそうでしょうか。宝の地図になりますか?でも地図よりも大事なものがあります。船と乗組員と希望と勇気です(ちょっとくさかったでしょうか、、、)。くれぐれも地図に振り回されて本来の目的を見失う、なんて事のない様に。
きょうりつ工房ではABC分析を行う無料クラウドサービスを準備中です。使い方は簡単。
1.分析したいデータを決められたレイアウトのCSVファイルで用意しておいてください。
2.それをアップロードします。
以上です。
画面にはランク付けされた分析結果が表示されます。
この値がAで、この値がCのものは、なんてフィルタリングも数クリックです。
データの並び替えは1クリックです。
ただいま準備中、出航までもう少しお待ちください。
もし皆さんからのご要望が多ければ、この開発プロジェクトの優先順位を上げます。
メールにてご要望お伝えください。
ttdonz@kyoritsukobo.com
その他、疑問点等のお問い合わせでも結構です。ご連絡お待ちしております。